「おじさん、いつかまた会えるよね」
「たぶんね」
「・・・たぶん、なの?」
「この世に絶対ってことはないのさ」
「じゃあ、ボクも奇術師になる」
「奇術師に?」
「うん、奇術師になったら、またおじさんに会えるでしょ」
「んん? はっはっは。そのためにはいっぱい練習しなくちゃいけないぞ」
「ボク、がんばるよ。ほかにはなにをしたらいいの?」
「そうだな、いろんなものをいっぱい見ること。それから・・・」
「それから?」
「いっぱい食べることだ。できるかい?」
「うん、ボクやるよ」
「しっかりやれよ、じゃあな」
「・・・おじさん!」
「うん?」
「最後の奇術、どうやってあのハトを消したの?」
「どうやって?」
「ボクが奇術師になったら最後にあの奇術をやりたいんだ」
「ほう」
「絶対に誰にも言わないから、お願い」
「ふふ、君は幼いころの私によく似ているな」
「え?」
「いいだろう、教えてあげよう」
「ホント!」
「そのかわり誰にも言っちゃいけないよ」
「約束するよ!」
「実はね、おじさんはハトぐらいならなんとかなるんだよ」
「え? どういうこと」
「はっはっは。そのうちわかるようになるさ」
「そんな〜」
「♪さ〜すらいの〜 き〜じゅつしは〜 お〜お食いさ〜 る〜るらら〜」
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