「今、戻ったよ」

「あ、川向こうの魔女、お帰りなさい」

「何も変わったことはなかったかい」

「はい、なにも」

「かまどの火は絶やさなかったろうね」

「はい」

「ようくかきまぜてたかい」

「はい」

「何も入れたりしてないだろうね」

「ぶふ」

「・・・・・」

「・・・・・」

「なにも入れてやしないだろうね」

「ぶふ」

「・・・・・」

「・・・・・」

「なにを入れたんだい」

「いえ、あの、べつに、その・・・」

「なにを入れたんだい!」

「あのー、まろやかさを出すために・・・とろろを少々・・・」

「すぐに『原色魔女の手作りお薬大百科』を持っておいで!」

「は、はいっ」

「ぺらぺらぺら・・・ああーっ!」

「どうしました?」

「あと少しで完成だった『ホレ薬』が、お前のせいで『ホレるけど口の周りがかゆくなる薬』になっちまったじゃないか!」

「ごめんなさーい」

「いーや、許さん! せっかんじゃー」

「いやー!」

「待てー」

「待たないー」






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