その19

「・・・首領」

「・・・なんだ、博士」

「ライダーのやつ、派手にやりましたな」

「・・・そうだな」

「何もここまでやらなくてもなあ」

「・・・・・」

「はぁ、こりゃ一からやり直しだな」

「・・・・・」

「どれ、何か使えるものが残ってないかな」

「博士・・・」

「は? なんです?」

「すまなかった」

「はぁ?」

「私が悪かった。許してくれ」

「どうしたんです、いったい」

「私はずいぶん博士に辛く当たってきた」

「・・・首領」

「意地の悪いことを言って、博士を困らせた」

「・・・・・」

「これはきっとバチが当たったんだ」

「・・・首領、それは違いますよ」

「え?」

「夢に挫折は付き物です」

「・・・・・」

「我々の目的、世界征服は大きな夢です。それから比べたらこのぐらいのこと」

「・・・博士」

「世界征服がごはんなら、今回のことはふりかけですよ」

「・・・じゃあ、もう一度いっしょにやってくれるか」

「もちろんですよ!」

「博士・・・ありがとう!」

「なに。言ってんですか。それより腹が減りませんか」

「そういえば」

「じゃあ、火を起こしてイモでも焼きましょう」

「そうだな、そうするか」

「ぷっ」

「どうした」

「いや、そういえば最初はそれだったなと思って」

「それ?」

「ふふっ、イ・モ・お・と・こ」

「ああ、そうか。こいつはいいや」

「ははははは」

「ははははは」

「首領、確か食料庫はあっちの方でしたよ」

「よーし、じゃあ競争だ。よーいドン」

「あっ、首領、ずるーい」

「ははははは」

「ははははは」





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