「おじさ〜ん、奇術師のおじさ〜ん」
「うん? あれはさっきの・・・」
「はぁはぁはぁ」
「どうしたんだい、坊や」
「はぁはぁ、おじさん、ひとつ教えて欲しいことがあるんだ」
「ははん、奇術師が答えてやれることは少ないと思うがね」
「でも、どうしても知りたいんだ」
「じゃあ、言ってごらん」
「あの大きなトランプをどうやって消したの」
「はっはっは、それを奇術師から聞こうというのかい」
「教えてよ」
「それを聞いてどうするんだい。友達に自慢するのかな」
「違うよ! ボク、大きくなったらおじさんみたいな奇術師になりたいんだ」
「ほう」
「絶対に誰にも言わないから、ねっ」
「ふむ・・」
「お願い」
「ふふ、君は幼いころの私によく似ているな」
「え?」
「いいだろう、教えてあげよう」
「ホント!」
「そのかわり誰にも言っちゃいけないよ」
「約束するよ!」
「君がトランプだと思っていたあの大きなカードね」
「うんうん」
「じつはあれ、たたみいわしだったんだよ」
「ええー! じゃあ、食べちゃったの?」
「誰にも言うんじゃないぞ」
「うん、ありがとう、おじさん」
「じゃあな」
「さようなら」
「♪さ〜すらいの〜 き〜じゅつしは〜 と〜もだちさ〜 る〜るらら〜」
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